- 2023年度実施報告
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65のアイデアの中から選出されたアイデア10作品を表彰し、社会実装に向けた討論を行いました。
アイデア募集期間:
2023年12月1日(金)- 2024年1月31日(水)
表彰式・シンポジウム:
2024年4月2日(火)国際大学GLOCOMホールにて開催
選考委員:
伊藤 和真 (株式会社PoliPoli 代表取締役)
今子さゆり (LINEヤフー株式会社 ヤフーメディア統括本部 編集2本部 メディアトラスト&セーフティー推進室長)
久保 光証 (株式会社Gunosy 執行役員)
佐々木興平 (佐々木食品工業株式会社 代表取締役社長)
高田 昌幸 (ジャーナリスト 東京都市大学メディア情報学部 教授)
鳥海不二夫 (東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻 教授)
早川ゆかり (グーグル合同会社 YouTube Japan ヘッド オブ レスポンシビリティー)
藤村 厚夫 (スマートニュース メディア研究所 フェロー)
山口 真一 (国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 准教授)
山本 龍彦 (慶應義塾大学大学院法務研究科教授)
(50音順 敬称略)
今回のアワードには10代から70代までの幅広い世代から65件のアイデアが寄せられました。解決したい課題には、フェイクニュース・誹謗中傷・エコーチェンバー・フィルターバブル・情報格差・サイバーハラスメントなどが挙げられ、10代からは特に誹謗中傷への対応策のアイデアが多く寄せられました。研究結果をもとに練られたものから若者の純粋な発想によるアイデアまで、「情報的健康」と向き合うそれぞれの熱意が伝わりました。アイデアの一つひとつから、現代の情報のありかた、一人ひとりが望む「情報的健康(インフォメーション・ヘルス)」のかたちについて、大いに考えさせられるアワードとなりました。
4月2日に開催された表彰式・シンポジウムでは、グランプリ1作品、準グランプリ2作品、特別賞7作品の受賞者を称え、「情報的健康」を実現するための社会実装につなげるためのシンポジウムを開催しました。グランプリには、インターネットを使用している時の心の状態を社会のルールや対人距離など3つの尺度から数値化して確認できる「心組成計」というアイデアを提案した大学院生の温若寒さんが選ばれました。また準グランプリには、閲覧した記事の思想を分析して情報の偏りがないかをグラフで可視化させるというアイデア「偏食の可視化」(高口研究室13期生)と、高校生にアクセス数を稼ぐ記事のタイトルを考えてもらうワークショップを通じてフェイクニュースの構造を学んでもらうアイデア「フェイクニュースを身近に感じるワークショップ」(内田響さん)が選ばれました。
選考に参加した研究者、ジャーナリスト、プラットフォーマー、ニュースメディア、企業の経営者が登壇し、情報の受け手・送り手、双方の立場で課題やそれぞれの視点での熱い議論が交わされました。
受賞したアイデアは、今後、社会実装に向けて検討を進めていきます。
表彰式・シンポジウムの模様はこちらよりご覧いただけます。
※予告なく配信を終了する場合があります。ご了承ください。
- インフォメーション・ヘルス
AWARD 2024
Information Health「情報的健康」
社会実装受賞アイデア -
グランプリ
「心組成計」:ネット上のこころの健康をチェック
(温若寒さん)「心組成計」は、ネット上の「たが」の外れやすさをチェックするツールです。社会のルール、対人距離・関係の維持の3つの側面から自分のこころを知り、ネット社会の「こころの健康」の向上を目指します。
準グランプリ
偏食の可視化
(高口研究室13期生)閲覧した記事の思想を分析し、様々な思想ごとの閲覧回数の偏りをグラフで可視化することで偏食を認識させ、また似た意見ばかりを閲覧するとAIによって違う見方の意見を表示するようにします。これにより、情報的健康の実現を図ります。
フェイクニュースを身近に感じるワークショップ
(内田響さん)自身の経験から、フェイクニュースの問題を高校生に身近に感じてもらうことを目的に作成しました。アクセスを稼ぐ記事のタイトルを作るワークショップで、フェイクニュースの構造を学んでもらいます。
特別賞
誹謗中傷コメントの自動削除システム
(伝能紗奈さん)現代社会を生きる私たちにとってインターネットはとても便利なものですが、ネット上の誹謗中傷により傷つく人がいます。そういった人を減らすために、中傷コメントを自動削除するシステムです。AIがコメント欄のパトロール的な役割を担う事で、誹謗中傷が減っていけばいいと思います。
義務教育における情報格差の解消
(長谷川珂凛さん)義務教育を通しそれぞれの情報格差を解消することで、情報的健康に繋がるのではないかと思いました。このアイデアでは、自分自身が「実際にこんな授業やアプリがあったらいいな」を、未来の高校生の視点から描きました。
利用規約ビューワ
(加藤千晶さん)アプリをインストールするときに、「利用規約」や「個人情報の取り扱い」の大量の文章を読み飛ばしていませんか?それを解決するのが「利用規約ビューワ」です。画面をスクロールするだけで、利用や個人情報に関わる重要な部分をマーカーで引いて教えてくれます。
映像化機能ロボット
(木村桃花さん)現代、インターネット社会になってメリットはあると思いますが、私はデメリットを多く感じたので、メリットとされるニュースを素早く知ることができること、いかに興味を持ってもらえるか、人の固定概念に縛られずニュースを身近に感じていただけるかを考えたものです。未完成ですが、考えた過程を是非見ていただけましたら嬉しいです。
『生体認証』による「ディープフェイク」の解決
(二山咲さん)世の中では音声等を編集した「ディープフェイク」と呼ばれる偽情報が問題となっています。そこで、「生体認証」という技術を搭載したアプリを作ることで、本人確認ができるため、偽情報かどうか確かめることが出来ると考えました。
逆忍
(川島賢太さん)AIが忍者のように逆説的な意見の収集と事実の確認を補佐することで、情報の偏りを抑え、ユーザーにバランスの取れた多様な情報を提供する仕組みです。結果、情報の偏りを抑制し、情報偏食を防ぐことを目指します。
ことてん
( 任意団体エルワイス 原田孝一さん)「ことてん」は、生活上直面するさまざまな問題に対する情報と相談先をまとめた事典アプリです。情報の健全性を保つために、著作者が有識者であること、または校正を入れることなど従来の事典の制作過程を踏襲しています。